グループ・サウンズ(GS)
1965年(昭和40年5月)ザ・スパイダーズの「フリフリ」がレコードリリースされ、グループサウンズの事実上の幕開けとなる。
1966年(昭和41年9月)「夕陽が泣いている」(ザ・スパイダーズ)が販売枚数120万超の大ヒットを記録した。
1967年(昭和42年2月)「僕のマリー」でザ・タイガースが衝撃のデビュー。
同年、ブルー・コメッツの「ブルーシャトウ」がレコード大賞受賞という快挙を遂げた。当時グループサウンズは長髪に派手な服装であった為、不良の集まりとされてNHK紅白歌合戦には出場する事が出来なかったが、ブルー・コメッツのレコード大賞受賞曲である「ブルーシャトウ」が爆発的ヒットとなり、NHKが頑なに拒んでいたGSではあったが、当時としては唯一紅白出場が許されたグループであった。
この年にはザ・カーナビツ、ザ・ゴールデンカップス、ザ・ジャガーズ、ザ・テンプターズなどGS黄金期のスター・グループが次々とデビューした。
1968年(昭和43年)ジ・オックスの演奏中に赤松愛らグループメンバーの失神により、熱狂的なファンにも大量の失神者が現れ社会問題化された。PTAや地婦連の抗議活動もあって、コンサート会場としての使用を劇場や自治体から拒否されることが多くなり、この出来事がGSブームに陰りが見え始めた要因の一つでもあったとも言われている。
ザ・タイガース、ザ・テンプターズ等の人気によりGS黄金期を迎えたグループサウンズも、1969年(昭和44年)にはムード歌謡曲化の傾向により、あれほど熱狂したブームが下火となり、多くのグループが解散に追い込まれていった。そして秋を迎える頃にはグループサウンズ・ブームも事実上終焉した。
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グループ・サウンズの由来
グループサウンズ(GS)は、ベンチャーズを中心とするエレキギターブームの中、ビートルズの影響を受けた若者達により、エレキギターやドラムを弾きながら歌うグループが日本で次々とデビューした。
1966年、ビートルズの来日公演によりさらにブームが加熱していった。それにより、当時若者の人気週刊誌である週刊明星が、これらのグループを「グループ・サウンズ」と呼び始めた。
元々1965年にエレキバンドの第一人者である寺内タケシが週刊誌の記者のインタビューで「グループ・サウンドだ」「でも複数だからグループ・サウンズのほうがいい」というやりとりが最初と言われている。
ヴォーカル/エレキギター/エレキベース/ドラムスといった編成が主であったが、バックバンドを従えたシャープ・ホークスやザ・ワンダースの様なコーラス・グループも存在していた。逆に、エレキ・バンドにヴォーカルを加えてGS化するグループも数多く誕生した。
. ビートルズ 来日 ベンチャーズ日本公演
グループ・サウンズの定義
何をもってグループサウンズと分類するのか?なかなかその定義付けには難しいものがあるが、ヴォーカルがいて歌唱し、エレキギターやドラムが有るグループをグループサウンズと定義付けするのが無難であろう。エレキバンドにヴォーカルを伴うバンドと言った方が分かりやすい。「エレキギターの代わりにフォークギターであれば、フォークグループとなる?」と、実はその分類も中々難しく、どちら付かずのグループも存在した。「ピンキーとキラーズは?」と聞かれる事があるが、彼等は歌謡コーラス・グループであり、また「チコとビーグルス」なども同様であるが、限りなくGSに近く判断が別れる。「ジャニーズ」「フォーリーブス」もアイドル系コーラス・グループである為に除外する。では「シャープ・ホークスは?」彼等にはシャープ・ファイブというプロのバンドが専属で行動しており、グループサウンズに分類されて然るべきである。グループサウンズが衰退した1970年代以降にデビューした「キャロル」などは完全なるロックバンドであり、所謂それ以前の1966年から1969年までにデビューしたポップ系バンドの呼称であると言っても過言ではない。
.エレキ・バンドの雄/ベンチャーズと加山雄三の共演
1969年 春 当時人気グループサウンズ(GS) ベスト20
グループ名 | 獲得票数 | グループ名 | 獲得票数 | ||
1 位 | タイガース | 141,118 | 11位 | アップル | 26,480 |
2 位 | テンプターズ | 74,267 | 12位 | スケルトンズ | 23,097 |
3 位 | オックス | 64,218 | 13位 | ゴールデン・カップス | 18,763 |
4 位 | スパイダース | 45,956 | 14位 | アダムス | 15,517 |
5 位 | ワイルド・ワンズ | 43,839 | 15位 | ガリバーズ | 15,041 |
6 位 | ヴィレッジ・シンガーズ | 34,892 | 16位 | チェックメイツ | 13,728 |
7 位 | フォー・リーブス | 31,926 | 17位 | フィンガーズ | 13,350 |
8 位 | ヤンガース | 27,245 | 18位 | レッツゴーゴーズ | 12,692 |
9 位 | カーナビーツ | 27,123 | 19位 | モップス | 12,354 |
10位 | ジャガーズ | 26,823 | 20位 | フローラル | 12,273 |
21位以下
21位 | ブルー・コメッツ | 41位 | リリーズ | 61位 | キャシー |
22位 | ブルー・インパルス | 42位 | シルバー・ローズ | 62位 | フェニックス |
23位 | シャウト | 43位 | アンクル | 63位 | グレープジュース |
24位 | スウィング・ウエスト | 44位 | サイレンサー | 64位 | リップス |
24位 | リボルバー ※同率24位 | 45位 | ブレイズ | 65位 | アストロジェット |
26位 | リンド&リンダーズ | 46位 | エレファンツ | 66位 | ピンキーとキラーズ |
27位 | ピーコックス | 47位 | キャラバン | 67位 | ジャックス |
28位 | ビーバーズ | 48位 | ファンキー・プリンス | 68位 | シューベルツ |
29位 | イエスタディ | 48位 | ヴィーナス ※同率48位 | 69位 | ハニーズ |
30位 | タックスマン | 50位 | Q(ザ・キュー) | 70位 | ウインカーズ |
31位 | ロンリー・ジャックス | 51位 | ハイ・ソサエティ | 71位 | カーネーションズ |
32位 | パープルシャドウズ | 52位 | ファニー・カーズ | 72位 | エルク |
33位 | ライオンズ | 53位 | サニーズ | 73位 | アタックメン |
34位 | ポニーズ | 53位 | デビーズ ※同率53位 | 74位 | サマーグリーンズ |
35位 | バロネッツ | 55位 | サニー・ファイブ | 75位 | 4・9・1 |
36位 | ピーターズ | 56位 | シャープ・ホークス | 76位 | ジャイアンツ |
37位 | ラヴ | 57位 | テリーズ | 77位 | ボーイズ |
38位 | フォーク・クルセダーズ | 58位 | アイドルス | 78位 | ランチャーズ |
39位 | ダイナマイツ | 59位 | フラワーズ | 79位 | ウェストプレイボーイズ |
40位 | タローズ | 60位 | ズー・ニー・ブー | 80位 | ユアーズ |
※文化放送 [グループ・サウンズ(GS)人気投票] 1968年10月7日~1969年4月11日 集計結果より
明治チョコのラベル裏にGSの名前を書いて応募すると1票とカウントされた。(総得票数 852.160票)
尚、レコードデビューしていない地方のジャズ喫茶等で活躍されているバンドも含まれている。
1票でも集計された為、応募グループ数は323グループに及んだ。下位のバンドの得票数は1票のみと名前も知れないバンドが多々含まれていた。
1位のタイガースの得票(141.118票)と2位のテンプターズ (74.267票)は大きく離れ倍近くの得票を得ている事から、当時いかに人気があったという事が表れているが、ブルーコメッツの21位(9.998票)パープル・シャドウズ 32位(3.327票)ランチャーズ 78位(813票)の低順位には非常に驚きである。この得票からみて、ローティーンやミドルティーンからの応募が多かったんだろうと考えられる。(もっともGSの支持層は中高生だから、ある意味納得せざるを得ない。)
また、一部のグループには組織票が大量に流れ、無名のバンドでも上位にランクインされた事は否めない。
8位のヤンガーズ(27.245票)には正直(フアンには失礼だが)驚きを隠せない。7位のフォーリーブス(31.926票)はGSには分類されないアイドル・グループだが、今のジャニーズ同様に人気があった。
1968年 春 当時人気グループサウンズ(GS) & 個人 ベスト10
グループ名 | 獲得票数 | 個人名 | 所属グループ | 獲得票数 | ||
1 位 | タイガース | 104,106 | 1 位 | 沢田研二 | タイガース | 72,633 |
2 位 | スパイダース | 72,434 | 2 位 | 瞳みのる | タイガース | 49,400 |
3 位 | ブルー・コメッツ | 59,060 | 3 位 | 加橋かつみ | タイガース | 37,996 |
4 位 | ワイルド・ワンズ | 43,835 | 4 位 | 植田芳暁 | ワイルド・ワンズ | 34,372 |
5 位 | テンプターズ | 42,977 | 5 位 | 堺 正章 | スパイダース | 34,105 |
6 位 | ヴィレッジ・シンガーズ | 37,591 | 6 位 | 森本太郎 | タイガース | 31,540 |
7 位 | リンド & リンダース | 29,675 | 7 位 | 萩原健一 | テンプターズ | 30,115 |
8 位 | バニーズ | 20,805 | 8 位 | 大口広司 | テンプターズ | 28,004 |
9 位 | カーナビーツ | 15,213 | 9 位 | 岸部おさみ | タイガース | 27,807 |
10位 | ジャガーズ | 14,584 | 10位 | 三原綱木 | ブルー・コメッツ | 24,182 |
※10代向け週刊誌 [グループ・サウンズ(GS)人気投票] 集計結果より
既にタイガースが不動の1位を獲得。テンプターズはこの時点で5位ではあるが、その後の6月にリリースされたヒット曲『エメラルドの伝説』以降人気が急上昇されていく。また、オックスはデビュー前だった事によりランクインされていない。
個人ではタイガースのメンバー全員がランクイン。その中でも圧倒的支持を得ているのがジュリーこと沢田研二である。3位以下は接戦、個人的な感想ではあるが何故かジャガーズの岡本信がベスト10外とは非常に残念である。